遡及義務とは?
遡及義務とは約束手形や為替手形などの手形に関する制度の事で、不渡りとなった時には、裏書人や割引人に支払い義務が生じる仕組みの事です。
手形は自由に譲渡が出来る債権なので、現金化される前に取引を繰越す事で、通貨同様に扱う事が多いものです。
そのため手形と言うのは価値が振出人への信用に関係していると言っても良いものです。
信用によって成立する価値を譲渡する以上は、譲渡者も責任があると言う観点から、手形を譲渡する時には裏面に住所や氏名を記入する必要があると考える事が出来ます。
こうした流れから手形が期日までに決済されなかった状態で不渡りを起こした際には、裏書人にもその背信行為に加担したと言う疑いが発生します。
これが遡及義務の根拠にもなっているものです。
不渡りになった手形の所有者はどうなるのか?
不渡りになった手形の所有者は、大きな損失を被る事になります。
その金額によっては甚大な被害になる事があります。
ですが支払い義務が順次裏書人に遡及されていく事で、手形の価値と所有者が保護される事になると言えます。
裏書の意味とは?
裏書には連帯保証の意味や義務が付帯します。
そのため、手形が期日までに決済されないで不渡りになった場合には、裏書人まで支払の遡及がされる事になります。
この点には何かと注意が必要です。
手形そのものは、企業の会計の上では流動的な負債として仕分けされるものです。
手形と言うだけでそのような流動的な負債として仕分けされるとなると少し不思議な感覚にもなりますが、これは、不渡りになった時に偶発債務が発生する可能性が否定できない事もあり、収益としては必ずしも確定したものでは無いと言う事が根拠になっています。
つまり手形などは実際にお金を支払ってもらってどれ程の価値があるかと言うのが問われるものと言う事です。
そのため、裏書人の信頼によって成り立っているものと言う解釈がされるようになったのです。